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地域連携薬局とは?認定要件・メリット・健康サポート薬局との違いを解説

はじめに

2021年8月、改正薬機法の施行により地域連携薬局専門医療機関連携薬局の認定制度がスタートしました。これは、薬局が単なる「薬を渡す場所」から地域医療の中核を担う存在へと進化するための、国の明確な方向性を示す制度です。

本記事では、厚生労働省の公式情報をもとに、地域連携薬局の制度を詳しく解説します。


薬局の認定制度の全体像

厚生労働省が推進する薬局の機能分化・強化には、3つの認定・届出制度があります。

制度開始時期認定主体主な役割
健康サポート薬局2016年4月届出制地域住民の健康増進支援
地域連携薬局2021年8月都道府県知事認定入退院時・在宅医療での他機関連携
専門医療機関連携薬局2021年8月都道府県知事認定がん等の専門的な薬学管理

この中で、最も多くの薬局に関係するのが地域連携薬局です。


地域連携薬局とは

定義

地域連携薬局とは、患者の入退院時や在宅医療において、他の医療機関・介護施設と連携してサポートできる薬局として、都道府県知事の認定を受けた薬局です。

地域の患者が安心して薬物療法を受けられるよう、以下の機能を備えていることが求められます。

  • 他の医療提供施設との情報共有体制
  • 在宅医療への対応能力
  • 休日・夜間の対応体制
  • 地域の医療機関・介護施設との顔の見える関係

制度創設の背景

日本は超高齢社会を迎え、以下の課題が深刻化しています。

  1. 在宅医療のニーズ拡大:通院困難な高齢者の増加
  2. 多剤併用(ポリファーマシー):複数の医療機関から多数の薬が処方される問題
  3. 入退院時の情報断絶:病院と薬局の間で薬の情報がスムーズに共有されない
  4. 地域包括ケアシステムの構築:医療・介護の切れ目ない提供体制の必要性

地域連携薬局は、これらの課題に対応するための薬局版「かかりつけ機能」の強化版として位置づけられています。


認定要件の詳細

地域連携薬局として認定されるには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 構造設備要件

  • 利用者のプライバシーに配慮した相談スペースの設置
  • 間仕切り等により他の患者から見えない・聞こえない構造
  • 車椅子でのアクセスが可能であること

2. 体制要件

常勤薬剤師の配置

  • 地域包括ケアに関する研修を修了した常勤薬剤師の配置

開局時間外の対応

  • 休日・夜間を含む開局時間外の調剤・相談に対応する体制
  • 電話等による相談に応じる体制の整備

在宅医療への対応

  • 在宅訪問による薬学的管理の実施体制
  • 医師やケアマネジャーとの連携体制

3. 実績要件

医療機関等との情報共有

  • 入退院時の他の医療機関との情報共有実績
  • 月平均で30回以上の報告・連絡実績

地域の多職種連携

  • 地域ケア会議や退院時カンファレンスへの参加実績
  • 月平均で1回以上の参加実績

在宅訪問実績

  • 在宅患者への訪問薬剤管理指導の実績

4. 更新要件

認定の有効期間は1年間です。毎年の更新が必要で、実績が継続的に求められます。形だけの取得では維持できない、「実質」を伴う制度設計になっています。


患者にとってのメリット

1. 入退院時の安心感

入院前に服用していた薬の情報を病院に共有し、退院時には病院での処方内容を薬局がしっかり引き継ぎます。薬の情報が途切れないシームレスな医療を受けられます。

2. 在宅医療の充実

通院が困難になっても、地域連携薬局なら自宅への訪問による薬の管理を受けられます。残薬の整理、服薬状況の確認、処方医への報告など、きめ細かなサポートを受けられます。

3. 多職種チームによるケア

地域連携薬局の薬剤師は、医師・看護師・ケアマネジャー・介護士などと連携しています。薬に関する課題をチーム全体で共有し、最適な解決策を導き出します。

4. 認定薬局の見える化

地域連携薬局は都道府県のWebサイトで一覧が公開されています。患者が信頼できる薬局を選ぶ際の指標として活用できます。


薬局にとってのメリット

調剤報酬上の評価

地域連携薬局の認定は、調剤報酬の算定において有利に働きます。

  • 地域支援体制加算の算定要件との親和性が高い
  • 2024年度改定で地域支援体制加算の要件が見直され、地域連携の実績がより重視されるように

地域からの信頼

認定を受けることで、医療機関や介護施設からの紹介や連携の依頼が増える傾向があります。地域の医療ネットワークにおける薬局の存在感が高まります。

差別化

調剤薬局の競争が激しい中、地域連携薬局の認定は他薬局との差別化要因になります。特に在宅医療に注力する薬局にとっては、認定の取得が経営戦略上も重要です。


健康サポート薬局との違い

比較項目地域連携薬局健康サポート薬局
開始時期2021年8月2016年4月
制度の種類都道府県知事による認定届出制
主な機能医療機関連携・在宅医療健康増進・予防
対象患者入退院患者、在宅患者など地域住民全般
有効期間1年(毎年更新)届出後、要件を満たす限り継続
実績要件月30回以上の情報共有等健康相談会の開催等

健康サポート薬局が予防・健康増進に軸足を置くのに対し、地域連携薬局は医療機関との連携・在宅医療に重点を置いています。両方の機能を持つ薬局が理想的です。


デジタルツールによる連携の効率化

地域連携薬局に求められる「他機関との情報共有」や「在宅医療への対応」を効率化するために、デジタルツールの活用が欠かせません。

電子処方箋の活用

電子処方箋の導入により、処方情報の共有がリアルタイムで行えるようになっています。入退院時の情報共有の精度とスピードが大幅に向上します。

薬局検索ツール

患者が地域連携薬局を見つけやすくすることも重要です。ファルマップ は、近くの薬局を手数料情報とともにマップで確認できるアプリで、患者の薬局選びをサポートしています。

シフト管理の効率化

かかりつけ薬剤師制度と地域連携薬局は密接に関係しています。かかりつけ薬剤師のシフト管理には iru-yo が活用できます。


まとめ

地域連携薬局は、超高齢社会における薬局の新たな役割を明確に示す制度です。認定要件は決して低くありませんが、地域の患者に真に貢献する薬局を目指すなら、取得を検討する価値は十分にあります。

入退院時の情報共有、在宅医療への対応、多職種連携——これらは、これからの薬局に不可欠な機能です。デジタルツールも活用しながら、地域医療のハブとしての薬局の役割を果たしていきましょう。


参考リンク